(3) 退職の理由〔第9・10表参照〕
「若年者層」と「中高年者層」がなぜ退職したのか、それぞれに事情が異なると考えられるので、別々にいくつかの項目を用意して複数回答で尋ねた。
ア. 若年者層
退職の要因として「自分の適性を活かせる仕事ではなかった」とする回答が83.7%で最も多く、いわゆるミスマッチである。また、「会社の処遇条件に不満がある」が43.6%で会社を選ぶに当たっての研究が不十分だったのか、我慢がないのか今の若者がどんな志をもって就職したのか理解し難い面もあるが、フリーターと称する若年者が150万人もいることを考えれば、これも時代の流れかも知れない。「結婚」によるとの回答が60.3%と高く、女性の職場進出が取り上げられる中にあって相変わらず女性の主な退職要因となっていることがうかがえる。このほか「勤務時間が長く、個人の時間が取れない」が28.7%あり、これも今時の若者の気質を表わしている。「他社から誘われた」も24.1%の企業が要因として挙げており、より良い条件を求めての転職も結構多いようである。
なお、複数回答のうち特に大きな要因を挙げてもらったところ、「自分の適性を活かせる仕事ではなかった」が49.7%と約半数の企業がミスマッチを挙げている。
これらの退職要因をみると、企業は今後新規学卒採用は現行のままとしても、派遣社員等を一定期間使ってみて、有能な人材であれば正社員に登用するなどいわゆるミスマッチの解消を目指した採用方法へシフトしていくことも考えられるのではないか。