飲むのはわかっているわけですから、それ以上は誰も飲んでいない。出るのもだいたいそれぐらいあるのです。ですから蒸発してしまって出るものがなくなってしまうのではないかなと思いますが、実際には体の仕組みがどうなっているかわかりませんが、そうでした。
それが砂漠とかもっと激しいところに行った場合には、出てくるものはないと思います。蒸発してしまって、脱水症状ですぐに死んでしまうという話です。そんな何日も、もつどころではなく、1日ももたないというのが現実だと思います。そういう場合には水がなければすぐに死ぬと思いますので、通用しない。南方の熱いところでも日陰にいればその程度のことだということです。
ですからもし参考になるのなら、それぞれ寒いところ暑いところ、場所によっても違うから水・食糧が無い状態でサバイバルになったときに、どういうことが私の経験からお役に立つか。それは結局、水が一番大事で、食糧はもちろん体力を非常に要する、山の中とかの場合には話が違ってくるのでしょうが、動かないでいるのなら山の中でもできるわけです。
そうすると、人間というのは考えるほど弱いものではないのではないか。やり方によっては、もちろん精神力、絶対にあきらめないという精神はあったほうが強いのは間違いないのですが、それ以上に必要なのは、人間こういう状態で何日生きられるかということを誰も知らないし、わからない。だからこういう経験をすると、10日ぐらいその程度のものを飲んで食べていても、人間これぐらいしか弱らない、そう簡単にいかれない。
そういうことをどこか頭にしまっておくと、もしも自分がそのケースになったときにずっと有益ではないか。その程度の知識というほどの知識ではないですが、人間がどのぐらいもつものか、私は覚えておいていただきたいと思います。
それからそれくらいのものを食べて、飲んで10日ぐらい漂流したときに、人間がどのぐらい衰えるか、体重がどのぐらい減るかです。タイで助けていただいたとき、身体検査ということで病院でいろいろ診てくださったのですが、そのときに重量的に一番減ったのは私で、10キロ減りました。10日で10キロということは1日1キロぐらいずつ減っていたということだと思います。
人によって個人差が大きくて、ほとんど減らず、二、三キロぐらいの人もいるし、だいたい10日で四、五キロぐらい減ったというのが平均だと思います。特に思ったのは、ああいう場合には太った方が強いというか、減り方が少ないということです。体の蓄えが多いということで、私はどちらかというと痩せているほうであまり蓄えがないから漂流向きではないと思います。