いずれにしても救助された時点で、まだ現実には4日そこらは食べるものも、水も残っていました。それを過ぎたときにどうなるかは私も経験がないので、実際にはわからないのですが、その前から食糧がなくなっても心配していなかったのですが、水がなくなったときにどうしようかと思っていました。
何年も前に日本とグアムのヨットレースで船がひっくり返って、6名か7名の方が筏で漂流されて、27日目と記憶していますが、1人だけその中の方が助かったことがありました。その方の書いた本を読んだことがあるのですが、その方は終わりのほうになったら、水が全然ないから自分の尿を飲んで生き延びた。あとの方は絶対に飲まなかったので、みんな死んでいったということが書いてありました。
尿がはたしてそういう足しになるのかならないのか、私も全然わからなかったのですが、みんなにはこういうことを読んだと説明しました。だから本当になくなったときは自分の尿を飲め、とにかく飲めるのか飲めないのか、味ぐらいはみておけと言っていました。
実際に筏の上でおしっこするときに、筏の入り口に近い端に行ってもかなり高さがあって、乗り出すことができないのです。乗り出すと落っこちてしまうという危険がありました。そういうことをするよりも、500cc入りの水の空の入れ物をコップのように切ったものを使って尿をさせていました。入ったものは外へ捨てるということでやっていました。
私が先にやったのですが、自分の尿をそこに取ってみて、とにかくどんなものか舐めてみよう。私の印象はかなり塩っ辛いもので、こんなものを飲んだらもっと喉が渇いてしまうのではないかと思いました。人によって個人差があるのかどうかわかりませんが、そんなに塩辛くないと言う人もいました。
そこまでの状態にならなかったので、飲まないですんだのですが、もう少し経てばいやでも飲むようになったと思います。それが有効かどうかは、実験していないのではっきり申し上げられませんが、ヨットでは助かった方もいるようです。
不思議に思ったのはそういう状態で、1日にコップ一杯の水しか飲んでいないわけですが、そうすると尿は出るかというともちろんたくさん出ません。1日1回しか出ません。でもそれがどう見てもコップ一杯分ぐらいあります。そうすると同じ量ということで、もし何日も同じ量だったら飲んでは出し、飲んで出しです。まして、もし有効なら永遠にかなりの間、生き長らえることができる。これは証拠も何もないのですが、確かにみんな見ていても同じような量です。