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スールー諸島には、タウスグ族とバジャウ、あるいはサマ族と言われる人たちが住んでいます。タウスグ族はずっと王権を握っていた民族で、ちょっとしたヒエラルキーみたいなものがあります。この人たちは自称サマ、ほかの人たちはバジャウと呼びますが、いわゆる海のジプシーと呼ばれる人たちで、こういった船に住んでいます。この人たちはもっばら平和愛好家で、魚を取って暮らしていますが、こういった非常に零細なものも海賊たちは狙うわけです。

それで何を取るかというと、実はこの船にそんな財産もありません。財産があれば、たとえば金歯にしたりということをしているのですが、ここで何を狙うかというと、最大の目的はエンジンです。エンジンが一番お金になるということで、こういった零細な船を狙ってエンジンを取っていく。そういった海賊がここ何十年も続いているような状態です。ただエンジンが付いたのはそんなに古いことではなく、ここ二十、三十年のことですが…

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彼らが海賊に襲われたときの一つの防御手段として、あるいは魚を取るときにも使うのですが、これは火薬です。火薬を瓶に詰めてダイナマイトを作り、不法なのですが、ダイナマイト漁というのをやっています。海賊に襲われたとき、そのダイナマイトで何とか助かったという話も聞きますが、海賊に襲われたときはあまり抵抗しないほうがいい。海賊はマシンガンなども持っていますので、抵抗しようとすると撃ち殺されるほうが早いという状況です。

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これはダイナマイトが完成したところです。瓶にダイナマイトを詰めて、ビニールで栓をして、鉄筋のおもりを結びつけています。これは雷管です。どれぐらいの深さに沈めるかによって、この長さを決めるわけです。適当に切って差し込みます。

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もう一つ、よく襲うのはこういった客船です。これはわりと近くに行く客船ですが、特にイスラムのお祭りがあるとか、近くで結婚式があるというときは非常に襲われやすい。

 

 

 

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