日本財団 図書館


皆さんはご存知かと思いますが、日本に来る石油の8割はこのマラッカ海峡を通過してきます。またマラッカ海峡には年間およそ4万2000隻の1000トン以上の大型船が航行しますが、そのうち7000隻以上が日本関係船、日本の船会社が運航に携わっている船です。つまり日本の生活にとって生命線とも言えるマラッカ海峡の航行安全は、私どもの生活に密着した問題だと考えています。

私の言葉ではマラッカ海峡の現状を皆さんなかなか理解できないかと思いますので、ここでビデオをご覧いただきたいと思います。このビデオは日本財団の関係団体である東京財団が株式会社ワックに依頼して制作したマラッカ海峡に関するビデオです。

(ビデオ上映)

皆さんにマラッカ海峡の姿がご理解いただきやすいように、マラッカ海峡の紹介の部分をちょっとご覧いただきました。

実際マラッカ海峡ではどのような海賊事件が起こっているのか。今年に入ってからマラッカ海峡における海賊事件が非常に多くなっています。特に強盗型に含まれるものですが、それだけで今年の1月から8月までに26件の被害が報告されています。それも北緯1度から2度、東経101度から103度あたりの海域に集中して起こっています。

具体的にはシンガポールから出て、本当にすぐのあたりを中心に事件が起こっています。フィリップ・チャンネルという水路がありますが、そこは航路が直角に折れています。インドネシア側からシンガポールに入港するあたりですが、船はスピードを落とさなければいけない。インドネシア側には、非常に小さな島が多いことや非常に豊かな海域で出漁している漁船も多いことから、なかなか海賊船を見分けることができない。スピードが遅くなったところに海賊が島陰から出てきて乗り込む。そのようなところです。

どのような被害が起こっているのか、一つの例をご紹介します。2000年の8月29日に起こった事件です。マラッカ海峡における海賊被害があまりにも多いことから先ほどご紹介したIMBパイラシーセンターが特別警戒情報を流しました。8月29日水曜日午前3時、“タイガー・ブリッジ”という船が北緯1度54分、東経102度18分のところで襲われました。海賊は小型のボートで左舷側から該当船に侵入し、当直の船員に手錠をかけ船長に案内させた。この船員の奥さんがたまたま乗っていて人質に捕らわれ、船長がドアを開けた瞬間、海賊は刀を持って襲いかかり船長は左手に重傷を負いました。海賊は船用金2方3000ドルと船の備品を持って逃げました。同様の事件が今年の8月までに26件起こっています。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION