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次に分類するのが強盗型です。これは夜間航行中などに高速艇を用いて接近してきて、船内に侵入し拳銃やナイフなどで船員を脅し、船用金や船員の私物を盗むなどの行為を言います。最近マラッカ海峡で多発しています。このへんにつきましては後ほど改めてご説明しますが、変な話、絵に描いたような海賊というのがこのへんだと思います。

高速艇で近づきますが、これが島陰から出てきてレーダーにも映らないような小さな船で近づいてくる。報告によると20ノットで航行していた船が襲われたというケースもあります。20ノットの船に外部から侵入するというのは、乗船経験のある方はわかると思いますが、非常に難しい技術を要するようです。後ろから近づいてよくロープをかけると言いますが、話を聞いていると竹竿のようなものの上部に取り付けたフックを引っかけて、下で1人が押さえていてヤシの木を上るようにスルスルと上っていってしまうのだそうです。

これは聞いたときに非常に理にかなっている、小さいころやった木登りから考えると揺れるロープよりは押さえた竹竿のほうがよっぽど上りやすいのだろうと思いました。そしてあっという間にブリッジ、船橋に入られてしまう。そしてホールド・アップされてどうしようもなくなる。

三つ目として最近問題になっていますのがハイジャック型です。これはシージャックと呼ばれるものです。積み荷ごと船を乗っ取り、船員を救命艇などに乗せて海上に放し、船と積み荷を奪ってしまう。非常に巧妙な組織的な犯罪です。積み荷の売却ルートまですでに特定されているケースが多く、シンジケートによる犯罪だと言われています。最近起こったいくつかのシージャック事件が社会問題となり非常に注目されているところです。

このシージャック事件というのはシンジケートの中の役割分担により運営されておりまして、計画を作る指導グループ、襲撃を実行する実行犯グループ、そして盗んだ船を操船していく操船グループがあります。また盗んだ荷や船を売却するコマーシャルグループ、商業的なベースで動くグループというのがあり、この四つが一体となって動いています。

これは非常に巧妙な組織になっていて、末端が捕まった犯行でもその他のグループまでは特定できない。おそらく顔も知らない同士がどこかで操られて一体になって、動いているのではないかと言われています。

以上窃盗型、強盗型、ハイジャック型の三つが、大きく分けた海賊の種類です。そのほかテロ組織あるいはゲリラグループによる犯行がいくつかあります。フィリピン南部のモロ民族解放戦線がからんだ事件がいくつか起こっています。またモロ民族解放戦線の延長線上でフィリピン南部で行われている、一種の宗教対立から起こるファンダメンタドという行為があります。

 

 

 

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