メアリ・リードさんは、悪党の、大変評判の悪いキャプテン・ラッカムという海賊の奥さんになって、一緒に戦って捕まってしまうんですが、妊娠をしていたということで命は助かります。ところがキャプテン・ラッカムのほうは悪行を重ねていますから絞首刑になります。リードさんは旦那さんのラッカムに何と言ったかというと、
「あのときあなたが、もう少し勇敢に戦っていたら、そんな所に犬のように吊るされないですんだのよ」
と言ったそうです。男性諸君、勇敢に生きましょう。
何世代か前に「人間、勇敢に生きることが、幸運をもたらす種である。その幸運は香り高いものである」と言ったのは、ウルージ・バルバロッサです。殺戮のうちに生きた人間であるからこそ、海賊としての教訓というのは案外、人間存在の根源を垣間見せているのかも知れません。彼らの歴史をこえたメッセージは、悔いない生をまっとうしたいならば、人生を勇敢に生きなさい、ということかもしれません。
雑駁な話になりましたが、3000年の話を1時間ちょっとで終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
司会:小島さん、ありがとうございました。せっかくの機会ですから、もしご質問等がありましたら、お手をお挙げになって小島さんのほうにぜひ聞いてください。どなたかいらっしゃいますか。よろしいでしょうか。こちらの方からどうぞ。
質問:最近、新聞で束南アジア近辺の海で、盛んに海賊が出ているというお話を聞きますが、これを逮捕するとか、撃滅するとかいう案は船主協会から出ていないのでしょうか。
小島:私も新聞でしか読んでいませんが、国連の機関でこれに対する対応を決めようという話が出ていると聞きました。どうして国連なのか、私はちょっとここでお話しするのが漏れてしまったんでが、現代の海賊に関してはあとでまた、詳しく、海賊の被害に遭われたご当人からも、あるいは法規的な問題も出てくると思います。ただ、私が海賊史を勉強している立場から申し上げると、ここでなんで国連という名前が出てくるのか、背景を申し上げなければならないと思います。
被害を受けた船が日本の船ならば、当然日本の政府が対応しなければならないはずです。