北海を走っているあるハンザの船の上で反乱が起きます。なぜ反乱が起きたかというと、商品の輸送が大変盛んですから、忙しい。船を動かすのも、荷物を積み込むのも大変忙しい。乗っている人たちが酷使されるのです。あまりにもひどい労働条件だということで、水夫が反乱を起こしまして、まず乗っている荷物の代理人、これは大変権力があるのですが、その人間を海に投げ込んでしまいます。船を動かしている船長は責任がありますからとり鎮めようとする。そうすると「歯向かうなら、お前もだ」と、船長も海に投げ込まれます。
反乱を起こした首領がクラウスという人物で、大変人望が厚かったというのですが、船乗り出身です。乗っていた船乗りを集めて、その船で北のほうに去ります。スウェーデンの海岸の近くにゴートランド島というところがあり、そこに入るのですが、スウェーデンは当時ハンザの商圏に入っていますから、たぶん知り合いの仲間がいたのでしょう。そこで積荷の商品を売りさばきます。それで大変な勢力を保って、祝杯をあげます。クラウスはビールの大好きな海賊で、がぶ飲み男と言われて、そのあだ名が「シュトルテベッケル」つまり「がぶ飲み海賊」と言われる海賊がここに誕生します。鬼だとか蛇だとかあだ名がついている大変精強な連中が一緒にいまして、以後ハンザの商船はさんざんな目にあいます。
つまり、なかなか捕まりません。基本的に、技術集団として大変優れているのです。さらにそれから、拠点を確保しています。ゴートランド島というところに拠点を持っていて、ここを攻めていってもなかなか捕まらない。情報は協力する外部の人から得ます。拠点、技術、情報、と海賊の三条件がそろっているのです。ハンザの側は、大変困ってしまうのです。ところが、ある日、ある年に、スウェーデンとデンマークで戦争が始まります。
海をはさんでの戦争で、どうしても南のほうから北へ食糧が行く可能性が高いものですから、北方のスウェーデンで、孤立してしまった北方沿岸の拠点にドイツ人がたくさんいます。食料が不足してしまって助けを求めるのですが、ハンザはドイツに近いデンマークと同盟を結んでいますので、敵地へはおおっぴらに持っていけない。行こうとしても封鎖している船に阻まれてしまうということで、助けを求めた先が、このシュトルテベッケルです。