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No.5/36

 

船のしくみII

 

1. アルキメデスの原理(げんり)と浮カ(ふりょく)

アルキメデスの原理とは、「水中の物体は、その物体が押しのけた水の重さと同じ上向きの力(浮力)を受けて軽くなる」という原理です。伝説によれば、シチリア半島シラクサの王から王冠の金の純度を調べるよう命じられたアルキメデスが、風呂に入って水が溢れると共に自分の体が軽くなることから(溢れ出た水の重さと自分の体の重さが同じだということ)発見したものといわれています。

 

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2. 浮力

水中や水面に浮く物体には、上向きの力(浮力)が働きます。この浮力は、物体に働く重力、つまり物体の重さとつり合っているから、水は浮力と同じ重力(じゅうりょく)を支えることができるのです。これを、鉄のかたまりで考えてみましょう。鉄のかたまりを水の中に入れれば、すぐに沈んでしまいます。これは、鉄の重さが水から受ける浮力よりも大きいためです。ところが船はその鉄でできているのに浮かんでいられます。なぜ鉄の重さより大きな浮力を得られるのでしょうか。浮力は水中の接触面積(せっしょくめんせき)が大きいほど大きくなります。つまり、この鉄のかたまりの接触面積を大きくする方法を考えればいいのです。

鉄をたたき延ばして鍋のような形にして浮かべてみます。この鉄と水との接触面積は驚くほど大きくなり、従って働く浮力も飛躍的に大きくなって同じ重さの鉄でも水に浮かべることができるのです。

 

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浮力の実験

水より重い鉄のかたまりは、水に浮かばずにそのまま沈んでしまいます。しかし、この鉄のかたまりを薄く延ばして器の形にすると、その器は水に浮かびます。これは、器と水面との接触面積が広がって、多くの水を押しのけ、器を浮かせようとする力(浮力)が生まれるからです。

 

 

 

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