4. 船の揺(ゆ)れと防止装置(ぼうしそうち)
船の揺れには色々な種類がありますが、船が左右にかたむく“横揺れ”をローリングといい、波の上で最も起こりやすい揺れです。また、船首と船尾がシーソのように上がったり下がったりする縦揺れをピッチングといいます。
現代の船には、船の揺れを防止する装置として、これまで使われてきたビルジキールの他にローリング防止機能としてアンチローリングタンクやフィンスタビライザーが取り付けられています。この二つのうち客船や大型オイルタンカーに使用されているのがフィンスタビライザーで、発明は三菱造船(現三菱重工業)の元良信太郎(もとらしんたろう)博士によるものです。フィンスタビライザーは、船の両舷(りょうげん)の船底近くに小さな翼を張り出し、揺れの大きさに合わせて翼の角度を変えることによって船体の横揺れをおさえる装置です。大正12年(1923)に対馬商船の“睦丸(むつまる)”に世界で最初に装備されて以来、現在のクルーズ客船などの乗り心地を大切にする船には、全てといってよいほど積極的に取り入られています。