No.3/36
船を造るI
日本の造船業は昭和31年(1956)にイギリスを追い抜いて世界第1位になってから、現在まで長い間世界のトップの地位を保ってきました。この世界第1位の造船業を支えてきたのは、それまで人が手作業で行っていた数多くの作業にコンピュータを導入したり、溶接(ようせつ)の技術や大きな船をブロックに分けて造るブロック建造法(けんぞうほう)の導入など、新しい技術を取り入れて造船業の近代化を世界にさきがけて進めてきた結果だといえます。
1. 新造船の注文
船会社が新しい船を造るとき、どの様な方法で造船所に注文が出されるのでしょうか? 大型のタンカーを新しく造る場合を例に示してみましょう。
(1) 新造船建造会議(しんぞうせんけんぞうかいぎ)
船会社では、新しいタンカーを造る場合、これから先、原油がどれくらい使われるのか、その原油を運ぶのに何隻のタンカーが必要となるかなど、いろいろな条件をもとにして載貨重量(さいかじゅうりょう)何トン(どれくらいの重油を積むことができるか)で、スピードが何ノットの船が何隻必要かなど検討し、採算にあうことを確認した上で建造計画を決めます。
(2) 船主仕様(せんしゅしよう)の決定
新しいタンカーを造ることが決定すると、会社内の各部署で検討したことをもりこんだ船主仕様(船の種類、載貨重量、船の寸法、主機(しゅき)の種類、馬力、速力、定員、各装置の内容など)が作られます。
(3) 造船所の決定
造船所の決定は、競争入札という方法で行われ、船主仕様に合わせて見積もった船の値段、納期、支払いの条件、造船所の建造技術、これまでの実績などを総合的に判断して決定されます。