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環境問題の鍵を握る倹約の精神

今回のシンポジウムに講師として来日されたロバート・N・ベラー博士も、アメリカのハイテクの最先端の地にいながら、心学を研究されています。IT産業から深い内面性の追究まで、アメリカ社会のもつ幅の広さには敬服するよりほかありません。

ベラー博士は経済について、それは手段であって目的ではないということをおっしゃっていました。私もその通りだと思います。経済第一主義は、物質的に社会を豊かにするかもしれませんが、決して精神的に人を豊かにするものではありません。物を大量に生産し、人々を刺激して、とにかく消費に走らせる―これは「倹約」という考え方から最も離れたあり方です。

「倹約」を「吝嗇(りんしょく)(=けち)」と混同される方がありますが、これははっきりと異なっています。「吝薔」は、ただ自分のためだけに物惜しみをするのであり、きわめて自己中心的です。

 

 

 

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