世界の素封家・日本を目指して
企業経営の倫理という話に戻せば、私はある面では、日本よりもアメリカのほうがはるかに進んでいるように思います。例えばアメリカでは、事業に成功した多くの人が、自らが苦労して築いた巨万の富を社会に還元しています。欧米のキリスト教社会ではこれを「ドネーション」と言い、ロックフェラーにしろ、カーネギーにしろ、アメリカの歴代の富豪は皆それを行っています。ヘッジファンドの雄と称され、金融界にその名を轟(とどろ)かせているジョージ・ソロス氏も、金融商品を扱って得た莫大な利益の多くを慈善事業に寄付しています。マイクロソフト社のビル・ゲイツ氏も資産の九五パーセントを慈善事業に費やそうとされているそうです。このように、アメリカでは、成功した経営者が社会貢献をすることで、企業経営者の社会的ステイタスを高めているのです。