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しかもこの傾向は若い世代ほど顕著である。そして具体的な相関関係があります。一つの世代の中でもテレビ視聴時間が長い人ほど、政治、市民生活、普段のつきあい、宗教活動への参加が少ないということです。

若い世代の多くの人たちは意味のある誠実な人間関係を求めているのですが、若い人たちにはそういったものを理解し、維持する力がないように考えられます。若者が意味のある関係をつくろうと努力してはいるものの、空しい努力に終わっているということがパットナムの報告に出ています。

例えば主観的な意味での健康、頭痛、不眠、消化不良などは若い人ほど悪化しています。また、幸福感も若い人ほど感じられなくなってきています。普通、私たちは若いほど健康で幸せだと考えるのですが、実際はそうではないという報告が出ています。パットナムは、アメリカ社会は根本的に変化しなければならないと説いています。社会が経済的に豊かになっても、その社会が若い人から生きる意味と信頼できる人間関係をつくる力を奪っているならば、何かが間違っているということになります。このような社会を、すなわち急進的な個人主義が幅をきかせるようなアメリカ社会を、いったい日本は真似をしたいのでしょうか。

 

 

 

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