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こうした作品や他の多くの例が示しているのは、鎖国時代の真っ只中に開国の精神が顕著に現れていたということです。大事なのは、インドにしろ中国にしろ西洋にしろ、思想の源ではありません。科学、経済、社会あるいは精神といった当時の問題を考えて解決するうえで、こうした思想がいかに力になりえたかということが重要なのです。梅岩は抑圧的で閉鎖的な徳川幕府のもとで生きていましたが、開国主義の精神に囲まれていたと言えると思います。

 

経済発展と宗教の関連性

日本は西洋以外の国では初めて先進国となり成功を収めましたが、この「現代の奇跡」は近代以前に源があったはずです。拙著『徳川時代の宗教』が出版されてからもう半世紀ほどになりますが、この間に、数多くの研究の中で徳川時代の経済、社会、文化生活の活発な動きが説明されています。日本が西洋と似た発展をしていると紹介されていたことから、私は大学生の頃から日本の研究に興味をもちました。例えば封建主義という言葉は、多くの社会における前近代的社会関係を説明するために非常に漠然と使われていますが、他のほとんどの例とは異なり、日本の封建主義は西洋の封建主義と深い類似性があるようです

 

 

 

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