日本財団 図書館


講舎は、何人かの石門心学への志のある人々の集まりがあれば、たとえ特定の建物がなくても講舎として認められたようです。現代で言えば塾、あるいは大人の寺子屋のようなものと考えたらいいかもしれません。今日の市民大学と似通っている面もあります。

 

「心学」とは何か

「心学」という言葉そのものは、もともと中国で宋代以後に興った新しい儒教の間で使われるようになった言葉です。新しい儒教の精神復興運動として、その頂点に達したのが陽明学ですから、中国で心学と言えば、陽明学のことを指します。それが日本へ渡り、中江藤樹や熊沢蕃山の影響で、徳川時代の初期から急速に心学という言葉が一般に普及したのであります。

石門心学の場合はそれと幾分傾向を異にしますが、同じ心の学問ということで心学と呼ばれるようになりました。石田梅岩が創めたため「石門心学」と言われるようになったのですが、心学も石門心学も梅岩没後の呼び方であって、梅岩自身は自分の学問の呼び方については何も触れておりません。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION