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小池百合子 日本には発想はあるが全然実っていないという話がありましたが、単純化すれば、プレゼンテーションの問題に集約されるように思います。それも共通の言語、すなわち英語でのプレゼンテーションの度胸と技術が伴っていないことに帰結するのではないかと思います。

日本のように、これほど一生懸命英語を勉強しているのに、これほど英語がしゃべれない国は珍しい。それと似た国はトルコです。トルコは、海洋国家というよりは大陸の中にあるわけですが、いろいろな意味で、日本と共通点があると思います。まず、ボスポラス海峡によって東と西、アジアとヨーロッパの両方に位置する。自らのアイデンティティをいつも探し求めている。ガストアルバイターという形で労働者をドイツなどに送り出し、かつてオスマントルコ帝国を築きながらも、ヨーロッパに対する劣等感がある。日本もトルコも共通するのは、偉大な文化を有し、いろいろな意味で大国を築いてきたがゆえに、かえって内向的になった。外国語に対するひがみや内向性を持っている。それが外に対してのプレゼンテーションや、意思の疎通を欠く潜在的な原因ではないでしょうか。

 

 

 

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