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太田さんが言われた東アジアに開かれた多元的国際システムを築こうという話は、僕は大賛成だし、ぜひやらなければいけないと思いますが、長い道のりになると思います。これまで日本がアジアの協力体制と東アジアの協力体制づくりにどれだけ積極的にやってきたかというと、アメリカが反対した東アジア経済会議(EAEC)について日本も相当に足を引っ張ったのです。それから自由貿易地域についても、シンガポールとは、相手に農産物が全然ないからようやくめどがついたが、韓国とはおそらく無理でしょう。日本がイニシアティブをとって東アジアに自由貿易地域をつくるといっても、難しいという感じがします。

また、香港の『アジアウィーク』誌が「アジアの実力者五十人」という特集を毎年組んでいるのですが、日本の森首相が何位かというと、十七位なのです。その上には、韓国の金大中大統領、中国の江沢民国家主席、朱鎔基首相、台湾の陳水扁総統、シンガポールのゴー・チョクトン首相、マレーシアのマハティール首相、要するにアジアの政治家は日本の首相よりもみんな上におり、これまで日本の首相がベストテンに入ったことがないのです。日本は何を考えているのだろうという印象があるから、いつも日本の首相がベストテンに入れない。そういう意味で、太田さんの言われた、東アジアに開かれた多元的国際システムのための努力をぜひ心から推したいと思います。

 

 

 

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