親も、教師も、家庭も、学校も、社会も、日本文化というものを子供たちに教えることは一切なかった。しかも核家族化が進み、日本独特のカルチヤーなど生まれようもない環境となったのです。それなのに日本は異質な文化と言われ、外国とカルチャーの違いが非常に大きいと現在も言われ続けています。
島国日本は明治維新から、特に昭和二十年の敗戦以降は常に欧米に憧れて、欧米を真似することに必死になった。しかし欧米文化に同化できなかったから、皮肉にも日本独特のオリジナル化ができてしまったのです。では、その特殊なカルチャーとは何なのでしょうか。
結局、私見としては、言語音声学の分野で論理的に理解することが一番つじつまが合うと考えるのです。欧米は言語による議論・討論がカルチャーの原点であります。英語をはじめとする欧米言語は、文字は単なる音声記号であり、たかだか二十六文字前後だから音声で区別しなければ意味が通じない。文化が進み、語彙が増えればますます、実際にしゃべる言語の音声数が豊富になり、「口」も「身体」も「腹筋」も使い、しゃべることが一つの運動機能となったのです。目まぐるしくしゃべりまくる口運動で、口まわりに快感機能が走るようになり、唇でキスするコミュニケーション手段も生まれた。その快感によって、心に余裕も生まれ、反対意見の討論も可能となり、相手を認め合う民主主義、自由主義も生まれたのです。これが欧米の言語カルチャーの原点です。