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畑恵 私自身は常々、日本の国際貢献はいかにあるべきかを問う前に、そもそも日本の国はいかにあるべきか、ビジョンは何たるかをよくよく精査すべきで、それによって定まった座標軸ゼロの基点から世界を見晴かして初めて、日本から見て世界はこうあるべきだ、だからこれこれこのような国際貢献を行おうというロジックが組み立てられると考えています。今日、太田さんがお話しされた提言がまさしくその答えであったような気がしております。

確かに、日本はイコール欧米化ではない形で近代化を果たした稀有な国家であると思いますし、そうした近代化を可能にしたさまざまな要素を今後も活かし、さらに昇華させて、二十世紀の近代を超えた「超近代」という姿を世界に先駆けて提示していくことが、二十一世紀に日本が日本として存続するためにも、また国際貢献という意味からも求められていると思います。

ところが、今の日本といえば、ある意味でそれ自体が超近代へと脱皮するための陣痛なのかもしれませんが、あまりにも閉塞感に満ち、何もかも手詰まりで、そうかといってその閉塞感がなぜ生まれ、どう解決すればよいか状況分析もできず、いたずらに自信を失っています。そうした中でともすれば、これまでの近代化は失敗だったから、古き良き中世に戻ろうという傾向が強まっている気がします。

 

 

 

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