秋山昌廣 テーマとして「海洋国家日本の構想」ということで始まった以上、四方を海に囲まれた地理的条件が、いろいろな意味で日本に大きな影響を与え、今の日本をつくってきたということが大前提にあると思います。まず、最初にそこを明確にしておくべきだと思います。
その観点から二つほど申し上げます。太田さんの挙げられたテーマ以外として、若干具体的なテーマなのですが、まず一つは、四半世紀議論してきた国連海洋法条約や「アジェンダ21」などについて、法律や構想はできましたが、ほとんど皆勝手なことを考えているわけです。それについて日本が大きなリーダーシップをとるような提言を何か一つすべきではないでしょうか。実は私、きのうまでアジアの国々を訪問していたのですが、海洋法の問題や海洋国家についてどうあるべきかといったことについて、マレーシアやフィリピンのほうが猛烈なエネルギーを使って議論していました。
日本は残念ながら、どんどん海洋国家でない方向へと向かっているような気がします。例えば一つのテーマとして、海洋法の本当のイメージを海洋国家日本としてどう打ち出すのかについて、答えは仮に書かないにしても、こうした問題意識をぜひ持ってもらいたいと思います。
それからもう一つは、「海洋国家日本」というのをもう少し限定して考えると、「アジア海洋国家日本」ということになるのかなと思うのです。