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これを現象面で見ると、よくマクドナルド、コカコーラで象徴されるように、どこの国も非常に似てきているということはあるのですが、例えばアジアあるいは中近東の国から見ると、日本は近代国家、産業国家といってもやはり欧米とは違うというのです。これは表面的なシステムというよりも、その背景にある物事の考え方とか、価値観を言っているのではないかと思います。

また自由競争といっても、日本の競争は一つのルールの中の競争といった色彩が強い。したがって、中では激烈な競争をするけれども、外に対しては排他的になりやすい。同じ市場経済で競争といっても、日本人の考えている競争と、アメリカの考えている競争と違うというわけです。同じようなことが、例えば個人主義、民主主義についても言える。ということで、例えばサウジアラビアとかタイは、近代化してまったく表面的には西欧と同じような生活パターンになっても、さっきの和魂の魂に相当するところまでは西欧化したくない、伝統的な価値観とか、そういうものは残したい、ということを言っております。

私は問題提起のために、西欧化と近代化は必ずしも同じでないという点を強調させていただきましたが、では具体的に何が違うのかということになると、明らかに表面的には同じに見えても、そのやり方なり、ガイディング・スピリットが違うということであろうと思います。繰り返しになりますが、私が強調したいのは、アジアとか中近東の国は、日本と西欧とは違うという印象を非常に強く持っているということです。

 

 

 

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