伊藤憲一(司会) 今日の昼に出席したある会議で得たばかりの知識なのですが、イランが言い出して国連が主催する「文明の多様性セミナー」というのが近く開かれるらしいのです。多分そのセミナーなどが意図しているものというのは、太田さんがお考えになったようなことなのかなと思った次第です。
それからまた、「エイシャン・バリュー」ということがリー・クアンユーや中国などによって言われており、それは特に民主主義や人権などの解釈について、欧米とは違う「アジア的価値」ということで言われているわけですが、これは太田さんのご理解ではどういうことになるのか、追加してお話しいただけると、議論を深めるのに役に立つのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
太田博 江畑さんのご質問は、西欧化でない近代化というのはあり得るかということですが、それぞれの定義の問題にもなるので、非常に難しい点が含まれています。現象的に見れば、近代化はいろいろな側面があって、産業化が一番の中心ですけれども、そのほかに社会体制的な政治のシステムといったものも入ります。