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日本は海洋を多重的・多面的に利用してきました。そこで、どの国やどの民族でも自由に海洋が使えるという条件、状況を確保するために、日本は単に軍事だけではなく、政治、経済などあらゆる面で貢献していくべきではないかと思います。例えば、政治では安定を高めるための対話や、経済では南北間の経済的安定、格差をなくすことによって安定を保つというような方法もそれには含まれるでしょう。

この実現にはもちろん難しい問題があります。日本自身も排他的経済的水域や領土の問題などいろいろな問題を抱えています。しかし、ともかく海洋をどの民族でも自由に使えるようにするという目的のためにあらゆる努力を払い、先頭を切ってリーダーシッブを発揮するというのが、少なくとも今後半世紀は日本にとって有効な方法ではないかと思っています。その場合、日米安全保障条約のアメリカとの関係はもちろん重要なのですが、それだけではなく、東アジアの立場も重視した、あるいは東アジアの側に立って、ある面ではアメリカと渡り合うぐらいのことをして、この西太平洋の自由利用を推進したらいいのではないかと考えます。

最後に質問ですが、太田さんが世界秩序レベルのところで、イランを例にとって「西欧化ではない近代化を望む国がある」とおっしゃられました。西欧化という定義に難しいところがありますが、近代化というと、例えば政治的なシステムも技術も、ほとんど西欧が生み出したものであり、それは価値観なども伴うものなので、それを超えて西欧化ではない近代化を行うことは可能なのでしょうか。

 

 

 

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