日本財団 図書館


[自由討論] 伊藤憲一(司会)、江畑謙介、太田博、遠藤浩一、櫻田淳、秋山昌廣、畑恵、小林学、サム・ジェームソン、山田寛、小池百合子、秋元一峰、石塚嘉一、森本哲郎

 

伊藤憲一(司会) 太田さんには、非常に大きな構想を、しかし「海洋国家」というキーワードで押さえながら、よくまとめていただけたのではないかと思います。また、二十一世紀に向けて日本がどのような国家、民族としての展望、さらにできれば具体的な大戦略を持っていくべきなのかについても、非常に示唆に富む問題提起をいただいたと思います。皆様には、本年度だけではなく三年間にわたって行われてきた議論の結論を模索するという意味で、共同の努力に寄与していただければありがたいと思います。

自由討論会合の傍ら、われわれのグループは初年度瀬戸内海、第二年度北方海域、今年度は南西海域ということで、海洋の現場を見てきたわけですが、昨年、今年の旅行を通じて私が感じたことは、海洋の多面的・多重的利用というものが、瀬戸内海は古代以来の積み重ねの中で一つの極限までいっており、他方、北方海域や南西海域は、東京という日本の中心から距離があるということで、何か辺境の地域のような印象を持っていたわけですが、むしろこれは見方を変えると、日本民族というものが世界に向かって構築した突堤のようなもの、そこから古代以来、現地の人たちは世界に発信し、世界と交流してきたわけで、そういう観点から見ると、これは日本にとって非常に貴重な世界とのかかわりの出発点ではないかということです。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION