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日本はアメリカに対して、日米安保条約というしっかりした基軸があるではないか、しかも、日米安保体制というのは、今やアジア・太平洋の安定のための公共財にすらなっている、ここをしっかりさせておけば、多少日本が地域協力で自主的なことを言ってもいいではないか、むしろそれは日米関係にとって健全なことではないか、もし日本人の間にいぜんとして対米従属感があるとすれば、日本がこのようなイニシアテイブをとることによって、そういった感じも薄らぐのではないか、といったことを言うべきであろう。

第二に配慮すべき点は中国との関係である。二十一世紀の東アジア情勢で最大のかぎは中国の動向であろう。中国が地域大国への道を歩むのか、どこまで覇権主義的になるのかは、この地域の最大の関心事の一つである。日本としては、中国が少しでも開かれた協力的な姿勢をとるように働きかけるべきで、今までも働きかけてきた。いろいろ問題はあるにしても、日本が年二千億円にものぼるODAを供与しているのも、このような考えに基づいているわけである。

東アジアの地域協力体制の一つのねらいは、中国を取り込む、エンゲージするということである。もちろんアジア通貨基金構想にしろ、自由貿易地域にしろ、中国を取り込むことは容易ではない。

 

 

 

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