日本がイニシアティブをとって、ASEAN+3を軸に東アジア協力体制を強化すべきであるというのが私の提言である。できることからやるべきで、このようなアイデアが通貨経済危機を契機に出てきたこともあり、まず金融面での協力の動きが始まっている。本年の五月、ASEAN+3の大蔵大臣会合で、関係国間の二国間の金融協力取り決めのネットワークをつくろうというチェンマイ・イニシアティプが合意された。
いずれ将来は、このような動きを自由貿易地域にまで拡大するよう努めるべきである。つまり東アジア地域に、開かれた多角的な金融貿易経済協力体制を構築するよう、日本がイニシアティブをとるべきである。
この構想を推進するに当たっては、いくつか配慮すべき点がある。一つは、アメリカとの関係である。アメリカはEAECに当初反対し、アジア通貨基金(AMF)構想にも反対した。いろいろ理屈は言っていたが、結局は、アメリカが自分の息のかからない地域協力は認めないということだと思う。
この構想がアメリカ離れを目論むものではないことをはっきりと説明すべきである。アメリカは日本がアメリカと違った発想をすることに懸念を抱きがちだが、もう少し大人の度量を示すべきである。