三. 日本は地域秩序レベルで何をなすべきか
次に、地域秩序のレベルで日本は何をなすべきかについての私の提言は、東アジア地域の協力体制強化への寄与ということである。アジア経済危機を通じて浮き彫りにされたのは、一つは、東アジア地域がいかに日本に経済的に依存しているか、そしてまたいかに日本への期待が大きいか、ということであった。日本は国際通貨基金(IMF)のスタンドバイクレジットの供与、新宮澤構想等でその期待にこたえたわけである。いま一つ浮き彫りにされたのは、こういう危機に対処する地域協力体制が東アジアにないということであった。東南アジア諸国連合(ASEAN)があるが、こういう危機に対処する機構ではない。日本がアジア通貨基金構想を打ち上げたが、アメリカの反対でつぶされた。その間に、ASEAN+3(ASEANプラス日本、中国、韓国)という動きにかなりはずみがついてきた。これは、実質上何年か前にマレーシアのマハティール首相が言っていた東アジア経済会議(EAEC)構想であるが、EAECのときにはアメリカがマハティールということもあって、反対したが、そのうちに首脳レベルの会合から始まって、ASEAN+3が定着しつつある。