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今までの議論で、日本が海洋国家であるということについては、大きく分けて二種類のコメントがあった。第一は、日本は海洋国家というよりもむしろ島国ではないかというコメントであった。日本は鎖国もしたし、メンタリティーは概して内向きである。リスクはなかなかとらない。特にイギリスとの比較においてそういう議論が行われた。第二のコメントは、海洋というのはもう古いのではないか、空もあるし情報もあるではないかというものであった。

第一の、日本は海洋国家というよりはむしろ島国ではないかという点について、地理的に言えば、日本が四面環海であることは間違いない事実である。さらに経済的に見れば、資源一つをとっても、日本は海を通じる開かれた交易が絶対に必要である。このような見地からすれば、日本が海洋国家であることは疑いのないところである。ただ、日本人のメンタリティー、姿勢が問われていることは確かである。特に北東アジアに位置する海洋国家という点に関しては、伝統的な大陸国家である中国との対比で、海洋国家日本の姿勢が問われることになる。

第二の、いまさら海洋国家でもあるまいという議論については、必ずしも海洋にとらわれずに、姿勢の問題として考えるべきであろう。すなわち海洋国家であるということは、世界の新しい秩序づくりに貢献することが日本の国益であると考える、つまり開かれたメンタリティーによる開かれた国益の追求を意味するという理解の仕方である。

 

 

 

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