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中国を刺激するという話については、結局、国際政治というのは最後はバランス・オブ・パワーなのです。バランス・オブ・パワーのキッシンジャーの定義によりますと、ものごとを平和的解決以外にできない形をつくればいいんです。だから、ヨーロッパに国が五つあって、一つの国がもう一つの国を併合してしまうと強くなり過ぎるから、ほかの三つが一緒になって抑える。だから、攻められない。それが十九世紀のバランス・オブ・パワーですけれども、キッシンジャーに言わせると、それは国が五つある条件での一つの形であって、基本はものごとを平和的にしか解決できない形がバランス・オブ・パワーだと。だから、日米同盟が非常にしっかりしていれば、平和的解決以外はあり得ませんから、そいう形をつくることがバランス・オブ・パワーと考えるべきだろうと思います。

ですから、中国を刺激するといっても、中国を刺激しないというクライテリアをつくりますと、中国が「これを言ったら、おれは怒るぞ」と言ったら、口で言うだけでもってその言うことを聞かないといけない。それとは別に、中国が怒ろうと、どうせ平和的にしか解決できないという形をつくって、平和的につき合えばいい話なのです。だから、中国を刺激するしないというクライテリアは外したほうがいいと思うのです。

 

 

 

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