平野拓也 日本では常識のようになっている「中国が強くなる」という考えについて、果たして本当に中国はこのままどんどん強くなっていくのかという点が問題だと思います。
私自身は、中国大陸は、歴史的に見ても変化が激しい地域ですし、戦後の半世紀を見ても、中華人民共和国という国名は変わらないまま、文化大革命の前後で政治・経済体制をはじめ、中身は大きく変わって来ています。
したがって、中国の発展は、まだまだ続くにしろ、十二億の人口と多民族を抱え、米・欧に匹敵する面積をもった国がこのままの形でどんどん強大になって行くのかなという疑問をもっております。
それというのも、中国の経済は、沿海部の商工業は、外国資本の導入などで発展することが予想されますが、内陸部の開発はこれから多くの困難を克服しつつ進めなければなりませんし、たとえば、水循環の問題で水資源の枯渇とか砂漠化の問題が深刻化しつつあり、農業とか自然環境の保全など困難な問題があり、これらを抱えたまま中国が経済力、軍事力をつけてアメリカなどと覇権を争う強大な国になっていけるのかという懸念を抱いているからです。