つまり、NMDというのは、例の核抑止力あるいは相互確証破壊(MAD)理論に関連する話なので、TMDと基本的に全然違う話なのです。アメリカでも混乱されています。この問題について、ロシアはともかく、最終的に中国が猛烈に反発するというのは、よくわかるのです。今でも、米中というのはものすごいアンバランスで、とにかく中国のほうは、一発だけでも落としたいということですから。アメリカはNMDをならず者国家対策ということでやろうとしていますけれども、これをユニラテラルにやったら、私は中国が徹底的に核武装を強化していくと思います。ですから、日本あるいは日本政府は、仮にTMDの共同開発に影響があったとしても、NMDについては反対すべきだと思っているのです。アメリカでは、いつもその議論をしております。
TMDにつきましては、北朝鮮に限らず、一般的なミサイル拡散のことを考えているわけです。けれども、中距離ミサイルあるいは生物・化学兵器についての攻撃に対して、アメリカの核抑止力は頼れないと判断しているわけです。したがって、日本としてNMDに反対したら、TMDの共同開発に影響を与えてくる可能性はありますけれども、断固、TMDは開発するということで、そこはすっきりとやったほうが、アメリカは理解するし、今、アメリカの中でもTMDとNMDは分けるべきだというのが、だんだん強くなっています。日本が、別にバスに乗り遅れるなということではなくて、そもそもバスを動かせということで動いているので、私は最初から反対しているのですけれども、そこは日本政府としても腹を決めて、私は言ってほしいと思います。