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この前、クリントン大統領が中国に行って、「三つのノー」を政策として発表したのですが、岡崎さん自身がご指摘のとおり、議会がすぐ反対決議をしました。そのような原則は将来も変わらないと十分予測できると思うのです。

中国の問題は、非軍事分野においては、日本にとっては非常に大きい問題だろうと思うのです。国連の常任理事国の問題も含めて、アジアの指導権をどちらの国が持っているかということは、むしろ軍事的よりも、政治的に日本にとって非常に大事なことだと考えられます。したがって、アメリカは同盟国として、日本に中国と同じ程度の地位を与える必要があると思うのです。アジアの政策を考えるときには、日本と中国を少なくとも同等に取り扱う必要はあると思いますが、現在アメリカは必ずしもそうしていないということは、私は一つ、アメリカ人として心配なのです。

 

伊藤剛 二〇〇〇年五月に発表された陳水扁氏の総統就任演説を見てみますと、「一つの中国」という考え方と台湾独立の真ん中を一生懸命とって、台湾海峡を下手に緊張させないということが、最も台湾の安全にふさわしいと考えているふしがあると思うのです。そういうこともあって、陳水扁氏自身、朝鮮半島の首脳会談以降、例えば北京に働きかけて、朝鮮半島でできたことが、なぜ中台間でできないのだということを言っているわけなのですが、仮に中国が武力を発動しないという前提に基づいたとしても、現在、中国と台湾関係というのは、台湾に不利な状況になっているのではないかなという気がしています。

 

 

 

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