中国側にも声をかけたのですが、陳氏の出席に難色を示し、最後に何とか三名を招聘しました。しかし、実際に議論してみると、中国も台湾も一緒に座って、ちゃんと議論しているなと感じました。
ですから、台湾の総統就任式に日本から出席するなとか、李登輝前総統を日本に招くなといった中国の圧力をどのように処理していくのか、日本側の努力がまだ足りないのではないかと思うのです。
この間、ある民間の日米中三国の国際会議で、私は「日中台のトラック3、トラック2というものを、どんどんやりたいが、やれないものか」と言った。アメリカのボニー・クレーザーという中国問題専門家(コンサルタント)が、「いや、アメリカでは中国、台湾の人とアメリカの学者、専門家との間で、すでにそのような会合はいくらでもやっている」ということを言われまして、そういうものかと思いました。最初から難しいと匙を投げないで、うまく水面下で準備することが日本には足りないのではないかと思いました。
朝鮮半島問題では、中国を引き入れて、中国に北朝鮮を説得させるというのが、韓国、アメリカ、日本側の戦略だったのですが、それがこの間、見事に果たされた。しかし、中国の思惑は、米軍の存在に対抗することであり、その方向に向かっているので、中国との戦略ゲームというのは、朝鮮半島を舞台にして、これから本当に面白くなるなという感じがしました。