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伊藤憲一(司会) 同じ弾道ミサイル防衛(BMD)でも、米本土ミサイル防衛(NMD)とTMDで、だんだんと違った戦略的位置付けになってきているような気がするのです。例えばロシアはNMDには反対していたけれども、アメリカがうまく引きずり込んだのか、一緒にTMDをやらないかという話を向けていったら態度が変わってきて、この間の中ロ首脳会談では、そもそもTMDに一番反対の中国は、ロシアの変化に大分懸念を強めているようです。また北大西洋条約機構(NATO)を構成する西ヨーロッパ諸国、特にドイツなんかは、アメリカのNMDに非常に懸念を抱いて、これが米欧のディカップリングに通じかねないという懸念を強めて、牽制しているわけですね。

こういう中で、日本というのは自国の安全保障ということを第一に考えた場合に、NMDもTMDもごっちゃ混ぜにして議論しているような現状でよいのか。

 

岡崎久彦 ミサイル防衛の話で今行われている議論は、賛成の議論でも反対の議論でも、これはいくらでもできるのですが、日本の場合は、結局日米同盟を大事にするということしかないでしょう。同盟国が世界で一番良い水準の技術を保ってもらうということが日本の利益だろうということです。

 

 

 

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