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防衛庁では、技術研究段階で約五、六年程度かかり、その間の費用は二百億から三百億円くらいと見積もっていますが、開発には少なくとも一千億、さらにそれを量産するとなると兆単位の費用が必要になると言います。

しかし、そんなTMD構想を本気で進めていこうという士を募るときわめて少ない。議員はもちろん、防衛庁の方もその多くはあまり積極的ではない。何しろTMDは金食い虫で、少しでも顔を突っ込むと中期防の着実な遂行にも差し支えますから。

費用対効果がわからない以上、その有用性については判断できないし、下手にTMDに入れ込むといたずらに中国を刺激するだけという慎重論が、本音べースでは日本の主流であるような気がします。ただ私などは中国をある程度刺激するからこそ、抑止力として機能し得ると思うのですが。

加えてTMDを実際に機能させるとなれば、センサー部分をどうするかという問題があります。ミサイルに核や生物化学兵器搭載されていれば、これはもう発射と同時に感知して迎撃しなければ、米国と違って日本の場合は間に合いません。となれば、わが国はテポドンによって配備が決まった情報収集衛星以上に、北朝鮮などの上空で定点的に監視を続けられる早期警戒衛星がどうしても必要になります。でも宇宙の平和利用の決議との絡みで、日本が早期警戒衛星を保有することは現実的に不可能ですから、そうなると韓国が上げている衛星から在韓米軍を通じて情報を流してもらうようなルートを確保しなけれぱならないのではないでしょうか。

 

 

 

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