一国による海洋支配の試みは、すなわち、国家に疲弊をもたらしてきたことは確かです。いかにして戦略的に同盟を組み、それを維持していくかが、海洋国家の繁栄、安全保障の基本ではないだろうかと思います。
では、日本はどうしていけばいいのか。不確定要素が多すぎる北東アジアの戦略環境の中にあって確かなことは、今のところ、日米安保に基づくアメリカとの同盟関係に頼るしかない、ということではないでしょうか。遠い将来、百年、二百年先のことはわかりませんが、見通し得る将来を考えた場合は、日米同盟だけが確実な方法である、と考えております。
畑恵 単刀直入にお伺いしますが、日米で進められている戦域ミサイル防衛(TMD)共同研究に対し、わが国は今後どれくらいの力点をおいて取り組むべきでしょうか。
もちろん建前上は、平成七年から日米の専門家による研究作業は実施されていますし、昨年度の予算には共同技術研究費用も計上はされました。ただその額も十億円足らずと非常に小さく、しかも技術研究についてしか見通しが立っておらず、開発段階やさらにその先の配備段階への移行は検討さえされずにまったくの白紙状態です。