これから陳政権が、どのようなことをやるのか、例えば原子力発電の問題にどう取り組んでいくのかなどということも一つの試金石になります。この任期中、じっくり台湾の国民の反応も注視していかなければならないと思っております。
それから、中国が一つかどうかという話ですが、私はそもそも大陸のほうの中国は二十一世紀には一つではないと思っております。きょうも中央アジアのCIS会議が開かれている。ロシア、中国、CISで会議をしているのは、まさにその恐れから来ているわけです。むしろ、そういったケースに、どうやって対応していくかも考えなくてはいけないと思っております。
伊藤意一(司会) 今度、台湾の新しい外交部長になりました田弘茂さんが、外交部長になってから二回も私に手紙を寄越してくれているのですが、私も台湾に行って、こんなに親日的な国が世界にあったのかなと思ったぐらい、本当に日本にとっては貴重な、国際社会での仲間だと思うのです。ところが、日本はそういうところに対してさっぱりこたえずに、反日的な国のご機嫌を一生懸命とるというようなところがある。
他方、長谷川さんもご指摘になられたように、私は二十一世紀の日中関係というのは非常に重要だと思うのです。決して中台が干戈を交えるようなことにならないようにすることが、日本の非常に重要な外交課題だと思うのですが、岡崎さんのお話は、最悪の場合を想定して、そのときのことも頭の中に入れておけという意味だろうと思うのです。そして、戦略論上は、最悪のシナリオを常に持っていなければいけないわけです。