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長谷川和年 これから二十一世紀にかけて、日本にとって最も重要な外交問題の一つは、日中関係だと思います。日中関係というのは、協力関係というより競合関係の要素が随分多いのではないかと思うのです。一九九九年の秋に、私は中国の陳健駐日大使と食事する機会があり、その場でそういうことを言ったら、彼はそうではないと言っていましたが、私は、そういう要素があるのではないかと思っています。

日本と台湾は、理念や価値観を相当程度共有している。国民党が台湾に逃げて、もう五十年を超えているわけですが、中国と台湾は相当違う国になっているのです。こうしたことから、中国と台湾が近い将来に一緒になる可能性はまずないのではないかと思います。

いずれにせよ、日本の利益を考えると、台湾を日本側につけておくことが非常に重要ではないでしょうか。これだけ経済力があり、産業・科学技術が発展しており、これだけ重要な独立国ですから、台湾を日本側につけておく必要がある。私は、そのために日本がいろいろな意味で環境づくりにおいて手伝うことが重要ではないかと思うわけです。

また、台湾と中国が干戈を交えることはまずないのではないでしょうか。かつて毛沢東時代にも、中国は台湾を取れなかった。

 

 

 

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