もし中台衝突が発生した場合の米国の反応については、よくわからない。しかし、ここ二、三年の米国議会の反応を見るならば、中国が武力行使をすれば戦争になるだろう。その場合に米国が台湾をどうするかについて考えるには、最後には戦略論の問題、すなわち台湾の戦略的地位や価値を考えねばならないのである。
四. 台湾の戦略的価値
冷戦初期の時代から、中国海軍は脅威とならなかった。東シナ海は浅く、天津や上海から出港した潜水艦はすぐに潜航できず、水上を航行して沖縄のトラフ付近でやっと潜る。潜水艦は出港したらすぐ潜行して行方をわからなくしなければいけないので、これでは脅威とならない。よって、冷戦時代に北方はソ連の潜水艦が脅威であったが、南方の水路について日本は心配する必要はなかったのである。
しかし、もし台湾が中国のものとなると、台湾の東側は世界で一番深い海であるから、潜水艦によって日本のシーレーンを封鎖するのが非常に楽になる。そうなると、日本にとって沖縄からサイパン、グアムに行く線から南は、非常に危なくなる。