今後の見通しとしては、いつか中国本土と台湾が話し合いで統一するだろうという話が出てきたが、これはフィクションである。陳水扁氏が色々なことを言っているので、色々な憶測が出ているが、彼は、「独立を宣言しない」と言っているが、それには「中国が武力を行使する意図がなければ」という留保がついている。中国は武力を行使する意図を捨てないと公言している中で、これは何も言ってないに等しい。ただ、米国の英訳では「中国が武力を行使しなければ」となっており、それを和訳した日本の新聞にもそういう記述が多い。しかし、原文にはきちんと「中国が武力を行使する意図がなければ」と書いてあるのである。
中国としては、台湾が独立を宣言しないと言ったことを米国、台湾、中国の間の常識にしたいと考えており、そうすればもし今後独立を宣言したら約束違反だと主張できるため、留保がついていることは言いたくない。台湾の主要な二つの新聞も国民党系であるから、中国寄りとなって、留保のことを書いていないのである。
中国にとっての現状維持とは、実力で台湾をとれるようになるまでの現状維持である、または、中国が強大にならなくても、米国が孤立主義になるとか、台湾で経済的な大変動が起こって立ちいかなくなった時に、併合の機会をねらうことである。それまでの間に台湾が独立を宣言したり、それを他国が承認したりという既成事実をつくってほしくない。ということは、時間がたてばこれは必ずいつか衝突になるだろう。