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オルブライト国務長官がクリントン大統領に先駆けて北京を訪問した際に、東京でその議論をしたことがある。その時、結局その話はなくなった。代わりに、(一)「二つの中国」を支持しない、(二)台湾独立を支持しない、(三)台湾の国連加盟を支持しない、の「三つのノー」を言うことになった。

そしてクリントン大統領が北京を訪問したが、首脳会談後の記者会見でも、その後の北京大学の政策演説でも「三つのノー」について何も発言しなかった。このまま言わないのかと思っていたら、中国を離れる前日の上海において、文化人との会談の際に発言した。これについての米国政府の説明は、「これは前から言っていることである」ということであった。ただ、さすがに米国の議会はしっかりしていて、「これは新しいことである」として、それを否定する決議を、下院は満場一致、上院は九十九対一で採択した。

しかし、民主党の中国専門家や政策担当者は、「三つのノー」まで言ったのだから、これが米国の政策だとして、そこで矛をおさめ、あとはあまり余計なことをしないという形をとった。米国は今後、とにかく台湾に圧力をかけて、独立を言わせないで、現状を維持していこうとしている。

 

 

 

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