これは、近年稀に見る外交上の大成功であった。ペリー氏自身も語っていたが、米朝の合意が得られたこともさることながら、その過程で日米韓の三国首脳会談を開催したことも、大きなデモンストレーションとなった。
また、中国にとってもこうした朝鮮半島の南北分断は望ましいものとなるだろう。つまり、日米防衛協力のためのガイドライン関連法が成立して以来、中国は長期的に見て二十一世紀は日米同盟と中国との対決であることを覚悟したと考えられる。そうなると、中国は北朝鮮を手放すわけにはいかず、南北分断が望ましいのである。
こうして、朝鮮半島の南北分断はほとんど間違いない形勢になり、将来の形ができあがった。そうなったからこそ、南北首脳会談が開催されたと考えていいだろう。これで戦争の可能性がゼロになったわけではないが、北朝鮮が疲弊していて戦争はできないという分析もあり、戦争の可能性はあるにしても少ないだろう。また、戦争が起こったとしても局地的であり、北東アジアの安全保障という観点から見て、一時的、部分的には大きなことがあり得ても、朝鮮半島は大きな問題ではなくなりつつあるのである。
三. 中国・台湾問題
ブッシュ大統領候補のアドバイザーであるリチャード・アーミテージ、ロバート・ゼーリック、ポール・ウォルフォヴィッツといったメンバーは、ブッシュ政権が誕生した場合、日本と戦略協議を行うことを希望している。その場合に正面から議論をせざるを得ないのが、まず中国問題である。