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南北首脳会談への過程で、北朝鮮は首脳会談の開催と離散家族の面会の実現、韓国はインフラを含めた経済援助に合意しただけであり、それ以外の状況は何も変わっていないと考えたほうがよい。

何か変わったとすれば、これまで北朝鮮は韓国の援助を全面的に受け入れることにより、外部の風が政権に影響することを心配していたが、ある程度この問題を覚悟したことだろう。これは、外部の風に当たっても構わないというわけでなく、むしろ外部の風が入ってきても、それを取り締まって抑える自信があったということだろう。

いずれにせよ、九九年の米朝交渉以来、もっとさかのぼれば九四年の米朝合意以来の動きを見ても、南北分断の固定化というのは避けがたい状況にあると判断される。

その一つの要因は、米国である。米国は、九四年の米朝合意以来、北朝鮮の「ソフト・ランディング」を政策としている。その意味を尋ねると、「『クラッシュ・ランディング』の反対である」と言う。すなわち、急激な変化は起こって欲しくないということであり、政権崩壊や戦争は望まない、少しずつ変容してほしいということなのである。これを大きな声で言えば南北分断につながるから、「ソフト・ランディング」と言っているのである。

その障害となったのが核疑惑とミサイル問題であったが、ペリー米政策調整官による大変な交渉の末、九九年に合意に達した。特にミサイル問題は大変な難交渉であったが、その原因は日米韓三国の態度が当初一致していなかったことによる。

 

 

 

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