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未知なる世界、つまり、情報の少ない世界に立ち向かう勇気と知恵を尊重し奨励した国が、海洋国家となることができたと言えます。

近年、通信や衛星技術などの発達で、海洋は陸上から途絶された世界ではなくなってきました。かつて、一八九〇年のことですが、アメリカ海軍のマハン大佐が、国家繁栄のためのシーパワーの必要性を説き、その構成要素として、航海や造船技術、国民の中の海洋気質、航路上の補給地、海軍力などを挙げました。今、海洋の世界にも情報ネットワークが張り巡らされつつあり、IT技術がシーパワーの必須の構成要素となっています。情報革命を尊重し奨励した国が、海洋国家になることができる、そんな時代が訪れると思います。

海洋に関わる技術の発展は、海軍技術の発達によってもたらされた面があります。現在普及しつつある、海洋の情報ネットワークは、海軍のコマンド・コントロールシステムの応用です。数年前から日本でも、いわゆる軍事革命(RMA)の研究がなされるようになっていますが、これは、更なるIT革命の必要性、あるいは必然性への対応のあり方に関する問いかけでもあります。一方で、冷戦後の脅威の多様化とグローバル化は、軍事的対応と警察的対応、および、国家と国際社会さらには非政府組織による対応の境界をあいまいなものとし、同時に、技術における軍事と民事の境界もあいまいにする傾向があります。

 

 

 

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