日本財団 図書館


必ずしもそうでないことは福田恆存氏らが論証していますが、百歩譲って言語にとって美よりも実用性が大事だとするならば、そんなものはテクノロジーが担保してくれるということをわれわれは最近の経験で実感するようになりました。最近はいい変換ソフトが開発されていますし、ソフトに頼らなくとも、ワープロなりパソコンに単語登録しておけばほとんど痛痒なく歴史的仮名遣いで表記することができます。要は使う側の知的意思の問題なのです。ITというのは文化や伝統を補強するためのものであって、それ自体が目的ではないということを改めて強調しておきたいと思います。

 

高瀬康夫 新技術はもちろん重要ですが、今後とも海を考えていく上において、今まで海が果たしてきた役割、あるいは今まで海にかかわって培われた知識とか、技術とか、あるいは伝統、そういったものは絶対忘れるべきではないと思います。

例えば、天文航海術とか、あるいは帆走といったものは、今後また新しい技術革命が海洋関係にもたらされるとしても、常に振り返りながら忘れてはいけないことだと思う。海というのは、人類に対してさまざまな知識、技術、あるいは活動の場を今まで与えてきた。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION