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今までの体制が、国土審議会自体が外務省や防衛庁と絶縁関係の中にあったということもあるのですが、二〇〇カイリ問題が出てから、ここまで来るのにいまだに体制が十分にでき上がっていないというような問題、その中で橋本内閣での行政改革を受けて、石井さんが会長になって国土政策の基本法まで改正するという議論を今やっていまして、かなり進んできたわけです。

そこで、問題提起をしたいのですが、近代国家が誕生したときの海の意味は何かというのをもう一度振り返ってまとめてみたいと思っています。私は非常に社会経済的、あるいは技術的にも、防衛その他の点からも、日本列島にとって衝撃緩和剤というような意味合いを実は海の空間は持っていたのではないかと思っているわけです。それが今ボーダレスになってきている。

つまり、近代化の国家を単位とする世界秩序というのが、ボーダレスになってきた。ボーダレスになったときの海というものを考えることが、これからの日本の海洋国家の問題で海洋の意味合いではないかと思うのです。そのときに、ボーダレスの一番最先端を行っているのが情報ですが、情報だけではなくて、産業立地とかもどんどんボーダレス化し、ビジネスもボーダレス化してきている。そうかといって、すべてがボーダレスになるのかならないのか、その点での国家像がまだ見えていないために、例えば国土審議会などの議論が固まらないでいるのだろうと思います。

 

 

 

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