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例えば先日、北朝鮮から不審船が侵入してきました。あの時、初めのうちは海上保安庁の船が追いかけていたのですが、途中から速力が上がらないということで海上自衛隊にバトンタッチをした。実は、海保と海自の間には共通の秘匿手段がなかったために、両者間の交信は全部そのまま北朝鮮に知られていていたということがありました。その後予算がついたため、両者間にこのような共通の秘匿はかけられたようですが、情報通信の重要性に対する認識は、まだまだそういう次元なのです。このような海洋国家で、二十一世紀はたして大丈夫かなという思いは正直なところかなりいたしております。

実は私、これまで新しい世代に向けての二十一世紀型の国益にフォーカスして、独自に情報収集、分析、判断ができ、それに基づいて国家戦略を描けるような機関を何とか官邸の中に、できれば内閣官房に設置できないかとずっと考え続け、政策提言としてその要望を橋本総理時代に、官邸で総理に直接提出いたしたことがあります。ただ、新しい機関を創設するのは非常に難しいことですし、人員の問題もありますので、例えば今「内閣情報調査室」という機関がありますが、あまりにも少ない予算と人員しか与えられてなく、インテリジェンスや国家戦略という次元からは少々遠くなってしまっていますので、ここをもっと増強・拡充してはいかがか、と思っています。

 

 

 

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