情報化に関する国の取り組みについて若干、内部から話をさせていただきますと、情報通信が大切だ、IT革命に対応しなければという、その重要性は大分認識されてきたようですが、どうも対応がまだ上滑りしているのではないかと思われるところがあります。なかでもまだまだ考え方の構造そのものが前の世代の産業革命の考え方でありますので、いまだに重厚長大型から抜け切れないというか、ITというとアプリケーションやコンテンツではなくて、インフラにまずなってしまう。しかもそれがついこの間まで光ファイバーでなければインフラでないという考えから郵政省もなかなか動かなかった。光ファイバーが全国津々浦々まで配備される頃には、ひょっとすると光ファイバーなんて要らない時代になっているかも知れない、そういう時代に向かってフィックスされた計画を立てているという、そのこと自体が一番危険だと思うのですが、それに気付いてくれない。最近は、デジタル加入者回線(DSL)や無線などの選択肢も光ファイバー以外に考えに入れてくれているようですが、いかんせん、いまだにインフラ重視である。
産業政策はといえば、かけ声はベンチャー重視というものの、やはり政官とのこれまでの関係がありますので、どうしても大企業中心。大企業をまず富ませて、そこから下請、子請、孫請、ひ孫請でベンチャーというような考え方がまだ色濃くあります。この一、二年、心ある政治家や官僚の力で大分ベンチャー重視に税制や法整備など進んできてはいるのですが、やはり全般的な構造はそうは変わっていないという気はします。