日本の場合はどうも、フレキシブルさに欠けていたように思うし、今後もひょっとすると欠けたままではないかという心配があります。
最後に質問です。私は、百年たっても海上輸送が輸送手段の主力であることは変わらないと思いますが、その理由は簡単で、空気の密度に対して水の密度は六百倍もありますから、浮力、つまり持ち上げる力は絶対的に海の方が強いので、反重力でも実用化できない限りは、飛行機や鉄道は船の輸送力にとって代われないだろうと考えているからです。船の速度は遅いのですが、重いものや大量の輸送にはどうしても水に浮かせて、アルキメデスの原理によって運ばないと効率が悪いだろうと思います。
例えば石油です。当面は石油に頼らざるを得ないし、特に石油製品に関しては、これに代わる原材料がなかなかありません。その石油を運んでくるのに、中東からだとどうしても三ヵ月かかるし、おそらく五十年たっても、多分三ヵ月かかるのではないでしょうか。にもかかわらず、情報の分野はものすごい勢いで変わっていますね。この差、つまり、ウエブあるいはサイバースペースの中ではリアルタイムで情報が動き、物の取引が行われるのですが、物を運ぶこと自体は数力月単位でかかるというギャップが、今後どういう社会の変化を及ぼすのかが、私にはよくわかりません。